集団訴訟は,ひとりで訴えを起こす場合(個人訴訟)と,様々な点で異なります。
「集団」での「訴訟」。
みんなで訴えたほうが有利なような気がする...
団結して戦ったほうが相手を倒しやすいんじゃないかな...
名前から連想する,そんな素朴なイメージも決して間違っていません。
でも,集団訴訟には,他にもメリットがあり,また,デメリットも持っています。
一体どんなメリット・デメリットがあるのか。
この記事では,集団訴訟のメリット・デメリットを,すっきりと整理します。
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1.そもそも集団訴訟とは?
集団訴訟って,どのようなものなのでしょうか。
実は,集団訴訟という名の制度は存在していませんが,新聞等で紹介されるときなどは,少なくとも数十人の原告が共同して訴えを起こす場合に用いられているようです。
ざっくりと,
同じ相手から,同じような被害を受けた多数の被害者が「集団」で「訴訟」を提起するもの,とイメージしてもらえれば十分です。
具体例を通じて,より深くイメージしてみましょう。
日本における集団訴訟の歴史のスタートであり,誰しも一度は耳にしたことがあると思われる代表例が,四大公害訴訟です。
富山県イタイイタイ病訴訟,新潟県新潟水俣病訴訟,三重県四日市公害訴訟,熊本県水俣病訴訟が,いわゆる四大公害訴訟ですが,実はこれらの訴訟は,多くの被害者が集まってなされた「集団訴訟」なのです。
また,個人情報の漏洩に関するTBC訴訟や,薬剤の副作用に関する薬害エイズ訴訟や薬害イレッサ訴訟,カネボウ化粧品の製品の欠陥に関する白斑の事件も,「集団訴訟」として整理できる事件です。
その他にも,多くの人が,同じ相手から,同じような被害を受ける事件類型として,詐欺・悪徳商法被害や騒音被害が,「集団訴訟」が提起されるような事件として想定できます。
2.集団訴訟をするメリットは?
結論からいえば,
集団訴訟をするメリットとしては,以下の点が挙がります。
①【費用面】
・着手金が安く済むことが多く,訴訟に参加しやすい
・全体としても,訴訟費用が安く抑えられる可能性がある
②【訴訟面】
・証拠が集まりやすい
・事件の解決が,社会的な意義を持つことがある
費用面のメリット
弁護士費用は自由化されていて,費用の内訳は,依頼した弁護士次第ですが,民事事件の受任の場合,最も一般的な支払内訳は,以下のようなものです。
弁護士費用=依頼前の相談料(依頼後は不要)+着手金+報酬金+実費
この内,相談料と着手金は,正式に依頼する時までに支払う必要があるのが一般ですが,着手金の相場は最低10万円であり,高額な費用となっています。
弁護士に依頼するか検討している人にとっては,結構なハードルですよね。
もちろんケースバイケースなのですが,
集団訴訟の場合,多くの原告(被害者)を集めるために,着手金の額を安く設定されていることが多いです。
弁護士によっては,着手金を無料にする代わりに,報酬金の利率を上げて調整するケースもあり,いわば初期費用がかからないという点で,被害者としては,訴訟を起こす(集団訴訟に参加する)ハードルが低くなるものといえます。
また,集団訴訟を起こす事件の中には,解決することに大きな社会的意義があるものもあり,その場合,解決を望む弁護団が費用を自己負担で運営しているケースもあり,そのような場合には,全体として訴訟費用が安く抑えられる可能性がありますので,この点もメリットといえるでしょう。
訴訟面のメリット
訴訟面では,まず,
証拠の集まりやすさがメリットです。
私たちは,訴訟などを特に意識せずに日々の生活を送っています。
ですので,相手との会話や電話のやり取りを記録に残さずにいることが多く,自分が被害にあったのだと気付いた後の時点で慌てて探してみても,証拠となり得るようなものがない,あるいは消えていることが十分にあり得ます。
ひとりで訴えを起こす場合(個人訴訟)では,あなたしか証拠を用意できる人がいないので,証拠がない以上,訴訟で勝つことが難しい状況へと追い込まれてしまいます。
しかし,集団訴訟では,同じ相手から,同じような被害を受けた多数の被害者が集まっているので,事件や証拠が似通っています。
そのため,
他の被害者の持っている証拠が,あなたの事件との関係でも,証拠として意味を持つことがあるのです。
そして,集団訴訟では,ある被害者の提出した証拠を,他の被害者の証拠としても使ってよいことになっています。
例えば,ある業者とあなたとのやり取りについての証拠が全くない場合でも,慎重に業者との会話を録音していた他の被害者の録音データを,あなたの事件との関係でも証拠として用いて,同じようなやり取りがあったと判断してもらえる可能性があるのです。
裁判における判断は,証拠に基づいてなされますから,被害者間で,それぞれが持つ証拠を,いわば共有できる集団訴訟は,
証拠の集まりやすさという点でメリットがあるといえるでしょう。
また,事件の解決が,社会的な意義を持つことがあることも,メリットとしての一面を持ちます。
すなわち,事件の解決を望む支援者を得られることがあり,その支援をバックに,訴訟運営がよりスムーズに進む可能性があります。
また,訴訟での事件の解決という「司法」の問題にとどまらず,時には世論ないし「立法」に影響を及ぼすこともあり得ます。
例えば,いわゆる薬害C型肝炎訴訟は,全国5地裁で審理され,社会問題化しましたが,最終的に2008年1月11日,国会で薬害肝炎被害救済法(特定フィブリノゲン製剤及び特定血液凝固第Ⅸ因子製剤によるC型肝炎感染被害者を救済するための給付金の支給に関する特別措置法)が成立し,被害者の救済が図られました。
さらには,特定の企業を被告として集団訴訟を提起した場合,世間的なイメージや信用が重要な企業に対してプレッシャーを与えることになり,和解の交渉が有利に進むといった訴訟上のメリットがあるといえます。
3.集団訴訟にデメリットはある?
集団訴訟は,上記のようなメリットを持つ反面,デメリットもあります。
具体的には,
①最終的な解決までに,かなりの時間が必要
②訴訟の規模が大きくなるに伴って,各原告(被害者)の足並みを揃えることが難しくなる
というデメリットがあります。
①の時間の点については,集団訴訟は,被害者の数も多く,かつ,被害者ごとにそれぞれ別々の事件がありますから,すべての事件について判断していくのは,裁判官にとっても大きな労力と時間を必要とし,事件解決までの時間も数年以上見込まれます。
さらに,日本では三審制がとられており,地方裁判所で判決が出されても,その判決に不服がある場合は高等裁判所への控訴がなされることがあり,引き続いて高等裁判所での判決に不服があるということになれば,最高裁判所での裁判まで進む可能性もあります。
このような場合,最終的な判断が確定するまでには,かなりの年月がかかってしまいます。
もちろん,訴訟の途中で和解が成立すれば,控訴や上告といったものはなく,和解によって訴訟が終了し,和解調書が確定判決と同じ効力を持つことになりますから,時間としては短く済みます。
しかし,相手(被告)が,国であったり,ブランドイメージを守るために徹底抗戦してくる企業だったりした場合,和解による解決は難しく,訴訟が泥沼化することもあり得ます。
②の足並みの点については,会社やチームを想像してもらえれば理解できますよね。
人数が増えれば増えるほど,全体の足並みを揃えるのは難しくなりますし,集団訴訟が社会問題として注目を集めて,ワイドショーやネット記事等で様々な意見にさらされると,原告団から抜けたいと思う人や,方針変更をしたいと考える人が出てきても不思議ではありません。
それでも,ひとつの集団訴訟として活動する以上,足並みを揃える必要があり,それにかける労力は多大なものとなるのです。
4.実際に集団訴訟をするにはどうしたらよい?
集団訴訟を起こす方法及び流れは,おおむね以下のようになります。
①被害者及び弁護団を組織する
・・・訴訟説明会等への参加をきっかけに,自分と同じような被害者を見つけ,原告団を組織する。
また,複数人の弁護士が協力して弁護団として活動する。
↓
②弁護団が,被害者らと協議して,被害実態の調査と,解決方針の話し合いをしたうえで,訴状を作成し,集団訴訟を提起する。
その際に必要なものとしては,委任状作成に必要な印鑑(認印でOK),着手金や調査費(個別のケースにより金額は異なる)です。
集団訴訟に関する費用については,こちらのコラム(
⇒詐欺被害解決にかかる弁護士費用の平均相場と費用を安く抑えるコツ)を参考にしてください。
このような流れをみると,被害を受けて集団訴訟を起こすことを考えている人にとって,まずは,自分と同じような被害者を見つけること,そして弁護士ないし弁護団を見つけることが必要かつ重要であることが分かりますね。
また,自分の被害実態をきちんと弁護士に説明できるようにしておく必要もあります。
いつ,どこで,誰と,どんなことをして,どのような被害にあったのかを自分なりに整理して,関係書類等も紛失しないように管理しておくべきでしょう。
弁護士を探す方法や,同じような被害者を見つける方法については,別の記事で詳しく紹介していますので,そちらを参照してみてください。
まとめ
・集団訴訟には,費用面・訴訟面で以下のメリットがある。
①着手金が安く済むことが多く,訴訟に参加しやすい
②全体としても,訴訟費用が安く抑えられる可能性がある
③証拠が集まりやすい
④事件の解決が,社会的な意義を持つことがあり,支援を受けてスムーズに訴訟を進め得る。和解の交渉が有利に進むこともある。
・集団訴訟には,以下のデメリットがある。
①最終的な解決までに,かなりの時間が必要
②訴訟の規模が大きくなるに伴って,各原告(被害者)の足並みを揃えることが難しくなる
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