集団訴訟での弁護士の役割、仕事内容、そしてどこまで請け負ってくれるのか

2018年12月03日
弁護士
集団訴訟での弁護士の役割、仕事内容、そしてどこまで請け負ってくれるのか
集団訴訟ではどのような準備をしたり,どのような訴訟活動をしたらいいのでしょうか。

また,訴訟と言えば弁護士が活躍する場ですが,集団訴訟の弁護士はどのような活動をしてくれるのでしょうか。

集団訴訟と弁護士について,説明していきます。

1.集団訴訟では弁護士が大活躍


集団訴訟の規模


集団訴訟は,原告が大人数となることが多いです。
その例として次のようなものがあります。
①日本最大級の詐欺事件であった豊田商事事件に端を発した国家賠償請求の集団訴訟
・・・原告 1400名超
②東日本大震災に関連した集団訴訟
・・・原告 数十名から百名超

集団訴訟の準備,訴訟とその負担


まず,集団訴訟を起こす準備として,
①大人数の原告が,どのような被害に遭ったのかを調査,共有すること
②被害に関連する証拠を集めていくこと
が必要となります。

その後,それをもとにして,裁判で行う主張やその法的根拠など,大人数である原告の考えを取りまとめる必要があります。

次に,訴訟を起こした後には
①裁判所に原告の法的な主張を伝えるための書面を作成する
②多く集めた証拠を厳選して提出する
③原告が事件の被害者として証人となって尋問を受ける
などの,多くの過程を経て,判決へと至ります。

多くの人や証拠が関わる集団訴訟では,訴訟を起こしてから判決へ至るまで数年単位の時間がかかってしまうことも珍しくありません。
上に挙げた豊田商事事件での国家賠償請求事件では,昭和63年に提訴され,は判決が出たのが平成5年であり,訴訟を起こしてから判決へ至るまで約5年の年月を要しました。

このように集団訴訟を提起した場合,事件の調査から始まり,長期間の裁判期間にわたって,多くの行動が必要となります。
そのため,原告の負担はかなり大きいものとなります。

弁護士の役割


弁護士は,集団訴訟の依頼を受けた場合,次で述べるような活動をします。

原告の被害が補償される可能性を少しでもあげることを目指しており,そのことによって,原告の裁判に関する負担がかなり軽減されることとなります。

2.弁護士がしてくれることとは


被害者との相談


まず,原告となる被害者からの相談を受け,その事件が集団訴訟を起こすべき事件なのか,個人で訴訟を起こすべき事件なのかを判断します。

この判断に際しては,その事件での他の被害者やその被害額がどれほどなのか,証拠がどれくらい集めることができそうなのか,被害者がどのような解決を望んでいるのか,集団訴訟を起こすことで生じる社会へのインパクトやその影響,などを考慮します。

その結果,個人で訴訟を起こすべき事件であると判断した場合には,そのまま訴訟を行います。

集団訴訟を起こすべき事件であると判断した場合には,被害者を集め,その意見や証拠をとりまとめ,集団訴訟を起こすこととなります。

弁護団の結成


同じ被害が多数人に及んでおり,問題の解決のために複数人の弁護士が協力することが必要である場合には,同じ考えを持った弁護士が集まり,弁護団として活動することになります。

弁護団には,数人のものもあれば,数百人の弁護士が参加することもあります。
最近の例として,2018年に発覚した東京医大の入試問題では,57人の弁護士による弁護団が結成されました(2018年8月22日時点)。

事件受任後の活動


裁判に関わる活動


弁護士は,まず,被害者の方から事件について聞き取りをします。

それを元にして,加害者に対し,法律上どのような請求をすることができるのかを,様々な観点から検討します。
そして,その請求のための法律上の主張や争点を考え,それを裁判所に認めてもらうための証拠を広く収集します。
弁護士ならではの証拠の収集方法として,弁護士法23条の2に基づく弁護士会照会制度を利用することもあります。

裁判を起こした後は,次に述べるような原告の裁判上の手続きを代行します。
また,被害者である原告が裁判で証人となった場合,その伝えたいことを裁判所にうまく伝わるように質問を考え,尋問を行うこともします。

裁判外での活動


また裁判に関わる活動だけではなく,被害者を集める目的や,世論に訴え加害者や国の補償等の行動を促す目的で,記者会見を行ったり,駅前などでビラ配りをするなどの活動をすることもあります。

集団訴訟では,多数いる原告の人の理解,意見を一致させるよう説明を行ったり,各地に被害者の会や弁護団ができた場合には,その間で意見,情報交換などを行ったりもします。

3.弁護士はどんな手続きを代行できる?


裁判での手続き


弁護士は,訴訟代理人として,裁判上の行為をすることができます(民事訴訟法54条1項,55条)。

裁判上の行為には,原告の主張を裁判所や相手方に伝えるための訴状や準備書面等を作成,提出し,裁判の期日には裁判所へ行き,主張を述べたり,証拠を提出することなどがあります。

また,裁判が進む中で相手方と和解の話が出た場合には,原告に確認をしたうえで,和解の内容に関し交渉をし,和解を成立させることもできます。

弁護士は,和解のような当事者本人にとって重大な結果をもたらすとして,法定されている行為(民事訴訟法55条2項)は,原告本人からのさらなる委任がなければ行うことができないとされています。

裁判終了後の手続き


裁判が終わり勝訴の判決が出された後に,相手方が任意にその履行しない場合には,強制的に相手方の財産等を差し押さえる等の強制執行の手続きを行うこともあります。
それに関連して,判決が出る前に強制執行の実効性を確保するために仮差押えや仮処分といった手続きをすることもあります。

裁判で敗訴となってしまった場合,高等裁判所や最高裁判所にさらなる判断を求める控訴や上告といった手続きを行うこともあります。

4.弁護士を探す方法


インターネット


ア 被害対策弁護団
上に述べたような弁護団が,「被害対策弁護団」等の名称を冠し,ホームページを作成していることがあります。
弁護団の方針,受任事項やその費用などを掲載していることが多いです。

イ 集団訴訟プラットフォームサイト
すでに結成されている被害者の会や弁護団等がない場合や参加することができない場合でも,集団訴訟プラットフォームサイトを利用することで,同じような被害者を集めることができ,また,その事件を担当してくれる弁護士と連絡を取ることができます。

ウ 弁護士事務所サイト等
必ずしも集団訴訟につながるとは言えませんが,まず弁護士に相談するために,各弁護士の相談を利用できます。
得意分野や手がけた分野の情報があれば,それを参考にすることもできます。

SNS(Facebook,twitter等)


SNSを利用して,他の被害者や弁護士を探すことも考えられます。
集団訴訟プラットフォームを利用した場合,そのサイトをリンクさせ,SNSを利用することでより効果的に,被害者を集めることができるでしょう。

無料相談等


これも必ずしも集団訴訟につながるとは言えませんが,気軽に弁護士に相談する方法として,地方公共団体や弁護士会で行われる無料法律相談という場があります。
ここでは,時間が限られたものになってしまうため,詳細な相談をすることは難しいですが,参考にすることができるような意見をもらえます。

集団訴訟 弁護士 手続き・まとめ


訴訟をする際には,起こすまでに多くの準備が必要であり,起こした後も訴訟の進行や結果を想定しながら多くの手続き,活動をする必要があります。
集団訴訟となると,集団で裁判をするメリットがある代わりに,その準備や手続きはより煩雑なものになります。
被害者にとって,その負担はとても大きいものです。

弁護士は,被害者の方の話を聞き,代理人として上記の手続き等を代わって行い,また,原告のための様々な活動をすることによって,被害者の方が加害者に対し,法的請求をすることの負担を大きく軽減することができます。