口座開設詐欺では自分が被害者にも加害者にもなってしまう！

アルバイトをするごとに、給与振り込み先の指定銀行の口座を作らなければならなくて、一つの銀行の口座を何個も持っていたような時代もありました。

しかし、複数の口座を作成し振込め詐欺やマネーロンダリングなどが行われることを防ぐために、現在では銀行口座やゆうちょ銀行の口座を個人で複数作ることは基本的にできなくなっています。

最近では、知らないうちに自分の作った銀行口座が振り込め詐欺に使用されていたなんていう事件もあります。自分でしっかりと口座管理をしないと、詐欺の被害者になるだけでなく、加害者になることもあるのです。

この記事は口座開設詐欺のケースと、今までに起きた口座開設詐欺の実例、自分が詐欺に遭わないための対策法について書いた記事になります。

口座開設詐欺の手口

口座開設詐欺には二つのタイプがあります。
一つは、新規に口座を開設する手伝いをするという名目で、お金を騙し取るタイプ。
もう一つは、振り込め詐欺などの犯罪や、マネーロンダリングに使用するために、他人の口座を獲得するタイプです。

海外に拠点がある銀行への口座の開設

金融庁のホームページに警告が出ているのが、日本に拠点がない海外の銀行口座の開設を手伝うという名目で、手数料や口座の開設費用を騙し取る詐欺が増加しているというものです。

高利回りの投資を行うためとか、日本国内の銀行よりも海外の銀行の方が利回りがいいと説明し、日本に拠点を置いていない海外の銀行の口座を開設させようとするものですが、海外の銀行の口座を開設するためには、外国銀行代理銀行として認可されている銀行で手続きをしなければなりません。

認可されていない業者が、口座の開設の手続きを行うというのは、口座の開設資金などを騙し取る可能性が非常に高いものだと警告しています。

融資の条件として金融機関の口座を開設させる

低金利での融資や、即日融資の条件として銀行口座を開設させる金融業者も確認されています。この手口としては、融資の申込をした人に、銀行の口座を開設させて、通帳、カード、暗証番号などを郵送させます。

ネットバンクの場合は、自分の名義で新しく口座を開設してメールで口座番号や、暗証番号などを送るだけというものもあります。

口座を高価で買い取る

口座を買い取る業者の手口は、掲示板への書き込みや、消費者金融などを利用した経験のある人の名簿などを手に入れて、メールや電話で口座買取の勧誘をしてきます。

現在、利用していない口座がある人で、不要な口座がお金になるということで売却してしまう人もいますが、買取りされた口座は、マネーロンダリングに使われたり、振り込め詐欺の受け取り口座に使われる可能性が非常に高くなります。

もしも、違法行為に口座が使われた場合は、売却した人も罪に問われることもありますので、絶対に口座売却の話に乗ってはいけません。

口座の売却ではどんな罪に問われる？

・相手に渡すつもりで新規に口座を開設した場合
新しい口座を開設することを条件に融資を受けたりして、最初から自分が使用せずに他人に渡すために口座を新しく開設したのならば、口座の開設は、銀行などの郵便局を騙す行為になりますので詐欺罪が適用されます。

詐欺罪は、１０年以下の懲役が科される非常に重い罪になります。

・不要な口座を売却した場合
新規に口座を作るのではなく、所持していた不要な口座を第三者に売った場合も罪に問われることもあります。犯罪による収益移転の防止に関する法律（犯収法）の違反に当たります。

口座を販売しているだけでも罰則はかなり重いもので、２年以下の懲役若しくは３００万円以下の罰金になり、もしも相手が振り込め詐欺で口座を使うことを知りながら、譲渡したのであれば詐欺罪となります。

口座を売却して逮捕された実例

口座を譲渡して逮捕された実例をいくつか紹介します。

・譲渡目的で自分名義の預金口座を開設
２０１８年１月、岐阜県でダム管理所の技官が逮捕された事件です。
高山市内の金融機関で、第三者に渡すために、自分名義の口座を開設し詐欺罪で逮捕されましたが、渡した業者は「闇金業者」だったようです。

男の言い分では、自分の預金口座を渡していることは認めていますが、口座を作成したのは相手に譲渡するためではなく、自分で使うためであったと容疑を一部否認していました。

・陸上自衛隊隊員が詐欺罪で逮捕される
２０１７年京都宇治市の駐屯地所属の陸上自衛隊陸士長が逮捕されました。
業者から「口座を開設したらお金がもらえる」と聞いて、自分名義で預金口座を作成し、通帳とカードを騙し取った詐欺罪になります。

・融資を受けるために口座を譲渡して逮捕
２０１８年に京都で逮捕された無職の女性は、口座を開設して譲渡したのではなく、元々自分が持っていた銀行の口座を第三者に渡して逮捕されました。

供述によると、業者から融資の条件として、所持している口座を渡すように言われ、預金口座とカードを渡したとのことです。

女性が渡した銀行の口座は、後日、近畿地方の７０代の女性が騙された振り込め詐欺の指定口座として使われましたが、口座を渡した人物が振り込め詐欺の受け取り口座に使うということを知らなかったこと、渡した口座は、新たに開設したものではなく、もともと自分が持っていた口座だったことから、詐欺罪ではなく、犯収法違反として逮捕されています。

自分が知らないうちに口座が開設されていることも

自分が知らないうちに勝手に口座が開設されて、それが犯罪に使われることがあったらとても恐ろしいことではないでしょうか？

しかし、実際にこのようなケースが起きているのです。
ある日、自分の使用している口座が凍結されてしまい、その後警察からいきなり連絡が来ます。

「あなたの口座が不正な利用をされている」

業者に口座を渡したり、売却したのであれば、警察から電話が来た時に、思い当たることもあるでしょうが、凍結される理由が全く身に覚えのないという人もいます。

そういった場合に多いケースは、免許証などの身分証明証を紛失したことがあること。

免許証を紛失してしまい、その免許証を使われて新しい口座を作られた可能性があるのです。また、インターネットのフィッシングサイトなどで、個人情報を抜かれてしまい、手に入れた情報で新規の口座を開設することもあります。

口座開設詐欺に巻き込まれないための注意ポイント

他の人に口座を渡さない

口座を他の人に渡すだけならば、誰が迷惑するわけでもないから問題ないのでは？と軽く考えている人もいますが、口座を他人に渡すことは犯罪です。

第三者に渡す目的で、自分名義の銀行口座を作成したのであれば、口座を作るために銀行を騙したということで詐欺罪になります。

自分の名義以外の口座を求めているというのは、犯罪のために使用したり、お金を隠すために使用したいものである可能性が非常に高くなります。

自分の口座を管理する

自分が、いくつ口座を持っているのかわからないという状態では、いつ個人情報がハッキングされて、口座が不正に使用されてしまうかわかりません。

不正利用されていても、数年間も残高を確認することもなく放置しているのであれば、自分で気づくことはなく、銀行や警察から連絡が来て初めて慌てることになるでしょう。

現在、使っていない口座があれば、廃止の手続きを行って、実際に所有する口座は必要なものだけにした方がいいです。

今、使っていなくても、いつか使うかもしれないと思って、残金がほとんど入ってない口座を所有している人もいますが、口座が必要になったら、その時点で開設すればいいのです。

不要な口座をたくさん持っていればいるほど、リスクは高くなります。

免許証などを紛失したらすぐに警察に届け出る

紛失した免許証などで、銀行口座を開設されてしまい、その口座が犯罪に使われてしまった時、知らないうちに自分の使用している口座が凍結したり、警察から事情を聞かれるなんてことになってしまいます。

免許証などを紛失した後の２次被害を防ぐために、必ず届け出を出しておくことが必要になります。

個人情報の入力は極力避ける

インターネットを利用していて、個人情報を入力しなければいけないことはありますが、よほど信頼のおけるサイト以外では、個人情報を入力しないことで、不正に個人情報を使用されて口座を開設されたり、詐欺業者に個人情報を売り渡されることを防げます。

まとめ

新たに口座を開設して他の人に渡すことは、犯罪だとわかっている人も多いですが、ここまで罪が重いものだとは思っていなかったのではないでしょうか？

口座を新たに開設して業者に渡すだけで、数万円のお金がもらえたり、他の業者よりも低い金利でお金を貸してもらえたり、目先のことだけを考えるとおいしい話かもしれません。

しかし、口座を売った事実が発覚してしまうと、数万円どころかその何倍もの罰金が科せられます。新規の口座の場合ならば、懲役刑になってしまう可能性もあります。

目先の損得だけを考えることなく、口座を他の人に渡すことで生じる大きなリスクがあることを頭に入れておいてください。

ネットバンクなどは、通帳がないため、口座を作ったこと自体を忘れてしまうかもしれませんので、開設した後は口座の管理には十分に注意をしてください。

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