選定者に集団訴訟を任せる!選定当事者制度について

2018年10月15日
その他
選定者に集団訴訟を任せる!選定当事者制度について
提訴したいと考えている相手から同じ被害を受けた方が多い場合は、集団訴訟が有効です。

証拠を共有できたり、弁護士費用を分け合うことができるなどのメリットがあるためです。

しかし、集団をまとめるのは大変です。そこで、選定当事者制度が活躍します。

今回は、選定当事者制度を取り上げていきます。

現在はあまり主流のやり方ではないので、その理由についても触れます。

1.集団訴訟の基本的な流れ


集団訴訟の基本的な流れは次の通りです。
①何らかの被害を受ける
②同じ被害に遭った者を募集して集団を形成する
③弁護士を付ける(必須ではない)
④口頭弁論
⑤裁判

ただし、裁判の前に和解を行う場合も多いです。

主に、明確に被告の責任があると判断できる場合によく用いられます。

和解額の支払いや責任の追及などを行うので、これが成立した時点で裁判は無しになります。

2.集団訴訟の中の選定当事者ってなに?


集団訴訟の中の選定当選者とは、端的に言うと代表者です。

集団訴訟を提訴するグループの中から選定し、裁判に臨む人です。

選定当事者以外のメンバー(選定者)も裁判の結果による効力が適用されます。

例えば、勝訴すれば損害賠償が受け取れるなどです。

問題点は、選定当事者には負担が大きいことです。

基本的にその他大勢のメンバー(選定者)は裁判の判決に従うという書類にサインをした後は、各支払いなど以外に何もしません。

それに対し、選定当事者は裁判に出席するなど行うことが多いです。

仮に敗訴した場合にはメンバーから失望されてしまう可能性があり、相当のプレッシャーの中で集団訴訟を進めなければなりません。

選定当事者の制度は、多くの人が被害者となった場合にとても有効です。

例えば、被害を受けていて原告になることを希望していたのに、既に集団訴訟が提訴されていてメンバーが固定されているために参加できないということが減りました。

これは、口頭弁論までは新たに選定者を追加することができるためです。

3.選定当事者の要件


選定当事者の要件は多数人の「共同の利益」を持っていることです。

共同の利益とは様々な解釈がありますが、基本的には、同じ事件の被害者であるということを指していることが多いです。

つまり、選定当事者になるには、同じ事件の被害者として集まったメンバーであることが必要です。

全く関係のない事件の被害者では選定当事者にはなれません。

4.著しく訴訟を停滞させないことの意義とは


選定当事者の存在意義として「著しく訴訟を停滞させないこと」が挙げられます。

これは文字通り、集団訴訟をスムーズに進めるという意味です。

選定当事者の存在により、多数の事件関係者の意思を1つにまとめることができます。

これにより、集団訴訟のメンバーが個々で裁判を行わなくて良いので、手間が掛かりません。

金銭的にも楽になります。

4.選定当事者制度があまり使われない理由


選定当事者制度は大変便利ですが、あまり使われていません。

その理由は次の通りです。

4-1.「共同の利益」の違いがある


選定当事者制度を利用できるのは、集団訴訟を行うグループが共同の利益を持っていなければなりません。

つまり、同じような被害に遭ったことが求められます。

しかし、実際には違う理由で提訴したいという場合があります。

この場合、また別件として扱われるので、選定当事者を立てるには向きません。

4-2.世間的な関心度が低くなる


選定当事者制度を使うと世間的な関心度が低くなる危険があります。

選定当事者を立てると、その他のメンバーは退く必要があります。

これにより、大勢が提訴しているというインパクトが無くなってしまうのです。

実はこれはかなり深刻です。

世間的な関心度がなければ、集団訴訟は被告を律する力が極端に弱くなってしまうのです。

例えば、被告のA社が集団訴訟で敗訴したとしましょう。

この事件の認知度が高ければ、A社の売り上げはかなり落ちると考えられます。

しかし、低ければ不祥事を起こしたことにすら気が付かないので可能性があります。

このため、A社を律することには繋がりません。

5.集団訴訟 選定当事者・まとめ


選定当事者制度は、主に集団訴訟をスムーズに進めるために使用されます。

主に同じ被害を受けた人間からの訴訟を1度にまとめることができ、口頭弁論までにはメンバーの追加が許されているので原告になりたいと考えている方が参加しやすいです。

ただし、選定当事者にかなりの負担が掛かるのがネックです。

これに加えて、「共同の利益」に違いがある場合は、この制度の効果は落ちてしまいますし、世間的なインパクトが落ちるので、被告を律する能力も低いです。