刑罰の対象にもなる時間外労働規制とは?定義と注意点を詳しく解説

2019年11月12日
労働
刑罰の対象にもなる時間外労働規制とは?定義と注意点を詳しく解説
今回、働き方改革関連法の導入によって、時間外労働の上限規制が設けられることとなりました。これに伴って、従来は事実上、青天井で残業が行なわれていましたが、残業時間の上限が設けられることになったのです。

法律で残業時間の上限が規定されているため、上限を超えた長時間労働をさせた場合は、刑罰が科される可能性があります。

働き方改革関連法に伴って、法律のルールはどのように改正されたのでしょうか?また、意識しなければいけないことは何でしょうか?経営者や人事担当者であれば、覚えておいた方が良いでしょう。

この記事では、時間外労働の上限規制の改正内容や、注意しなければいけないことについてご紹介します。ぜひ、これからの人事・労務に役立つ知識を、この記事で習得してください。

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罰則の対象!時間外労働の上限規制の改正内容の定義


従来の36協定で定められていた労働時間の上限は厚生労働省の告示により示されてはいましたが法的拘束力はありませんでした。

また、特別条項は上限が示されてないかったので、特別条項を設けることで上限なく労働を行わせることができたのです。

しかし、法改正によって、罰則付きの上限が定められて、臨時的で特別な事情がある場合にも上回ることができない時間外労働の上限が設けられました。どのような内容なのか具体的に解説します。

時間外労働の上限が罰則付きで法律に規定される


法改正後の時間外労働の上限は、原則として月45時間・年360時間と設定されていて、特別な事情がない場合は、これを超えることができません。

また、特別な事情がある倍でも、下記の内容は守らなければいけません。

 

【特別な事情による労働時間の上限】
1.年720時間以内
2.時間外労働と休日労働の合計が、月100時間未満
3.時間外労働と休日労働の合計について「2か月平均」「3ヵ月平均」「4か月平均」「5時間平均」「6か月平均」が、すべて1月あたり80時間以内である
4.時間外労働が、月45時間以上を超えることができるのは、年6か月が限度である

上記の上限を違反した場合は、罰則の対象になります。6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が処されます。

改正前改正後
原則の労働時間1日8時間 週40時間※法律による上限1日8時間 週40時間※法律による上限
36協定締結による労時時間の延長(原則)月45時間、年360時間※厚労省告示で法的強制力なし月45時間、年360時間法律による上限
特別な事情による労働時間上限なし(年6か月まで)※厚労省告示で法的強制力なし・年720時間・複数月平均80時間・月100時間未満※法律による上限
 

上限規制の施工は、2019年4月1日ですが、中小企業に対しては1年間猶予され2020年4月1日からとなります。

中小企業の範囲については「資本金の額または出資の総額」と「常時使用する労働者の数」のいずれかが以下の基準を満たしていれば、中小企業に該当すると判断されます。なお、事業場単位ではなくて、企業単位で判断されます。

業種資本金の額または出資の総額常時使用する労働者数
小売業5,000万円以下50人以下
サービス業5,000万円以下100人以下
卸売業1億円以下100人以下
その他(製造業・建設業・運輸業・その他)3億円以下300人以下

業種の分類は、日本標準産業分野に従って判断されます。

業種日本標準産業分類
小売業卸売業、小売業のうち各種商品小売業、織物・衣服・身の回り品小売業、飲食料品小売業、機械器具小売業、その他の小売業、無店舗小売業
宿泊業、飲食サービス業のうち飲食店、持ち帰り・配達飲食サービス業
情報通信業のうち放送業、情報サービス業、映像情報制作・配給業、音声情報制作業、広告制作業、映像・音声・文字情報制作に附帯するサービス業
不動産業、物品賃貸業のうち駐車場業、物品賃貸業
学術研究、専門・技術サービス業
宿泊業、飲食サービス業宿泊業
生活関連サービス業、娯楽業ただし、旅行業は除く
教育、学習支援業
医療、福祉
複合サービス業
サービス業他に 分類されないもの
卸売業卸売業、小売業のうち各種商品卸売業、繊維、衣服等卸売業、飲食料品卸売業、建築材料、鉱物・金属材料等卸売業、機械器具卸売業、その他の卸売業
その他(製造業、建設業、運輸業、その他)上記以外のすべて

上限規制の施工に当たっては、経過措置が設けられている


施工に当たっては経過措置が設けられていて、2019年4月1日(中小企業は2020年4月1日)以後の期間のみを定めた36協定に対して、上限規制が適用されます。

2019年3月31日以前に定めた36協定については、その協定の初日から1年間は引き続き有効となり、上限規制は適用されません。

上限規制の適用が猶予・除外となる事業・業務がある


次の事業・業務については、上限規制の適用が5年間猶予されます。
事業・業務猶予期間中の取扱い(2024年3月31日まで)猶予後の取扱い(2024年4月1日以降)
建設事業上限規制は適用されません。●災害の復旧・復興の事業を除き、上限規制がすべて適用されます。●災害の復旧・復興の事業に関しては、時間外労働と休日労働の合計について、・月100時間未満・2~6か月平均80時間以内とする規制は適用されません。
自動車運転の業務●特別条項付き36協定を締結する場合の年間の上限が年960時間となります。●時間外労働と休日労働の合計について、・月100時間未満・2~6か月平均80時間以内とする規制は適用されません。●時間外労働が月45時間を超えることができるのは年6か月までとする規制は適用されません。
医師具体的な上限時間は今後、省令で定めることとされています。
鹿児島県及び沖縄県における砂糖製造業上限規制がすべて適用されます。

罰則の対象にも!時間外労働及び休日労働について留意すべき事項


時間外労働や休日労働を適正なものとすることを目的として、36協定を定める際に留意していただくべき事項に関して、新たに指針が策定されています。これらを破ると罰則の対象となるため、注意してください。

 

時間外労働・休日労働は最小限にとどめる


時間外労働・休日労働は必要最小限にとどめられるべきものであって、これを意識した上で36協定を締結する必要があります。

 

36協定の範囲内であっても労働者の安全に配慮する


労働時間が長くなるほど、過労死との関連性が強まることに留意することが大切です。労働時間が長くなるほど、業務と脳・心臓疾患の発症との関連性が徐々に強まると言われています。

 

時間外労働を行う場合は、業務の区分や範囲を明確にする


各種の製造工程において、それぞれ労働時間管理を独立して行っているにも関わらず、製造業務とまとめているような場合は、細分化は不十分となるので注意が必要です。

 

特別な事情がない場合は、時間外労働(月45時間・年360時間)を超えてはいけない


業務量の大幅な増加などに伴い、限度時間を超えて労働させる必要がある場合をできる限り具体的に定めなければいけません。

限度時間を超えて働かせる場合でも、1か月の労働時間、1年の労働時間を限度枠にとどめるように努めなければいけません。
限度時間を超える時間外労働時間は、25%を超える割増賃金率で支給することとなっています。

 

休日労働の日数をできる限り少なくする


やむを得ない事情ではない限り、休日労働を行わせてはいけません。なるべく、業務が終わるようにして、労働者には休日を与えなければいけません。もし、休日労働をさせた場合は、代休を付与してください。

 

労働者の健康・福祉を確保する


限度時間を超えて労働させる労働者の健康を確保するための措置を行わなければいけません。

・医師による面接指導
・深夜業の回数制限
・終業から始業までの休息時間の確保
・代償休日・特別休暇の付与
・健康診断の実施
・連続休暇の取得
・心とからだの相談窓口の設置
・配置転換
・産業医等による助言・指導や保健指導


まとめ


労働者の健康リスクに備えた対策の一環として、法律の規制がされました。法改正が行われたことにより、これまで上限を気にせず労働をさせていた会社であっても、時間外労働の上限が法律によって規制されるようになりました。

また、36協定を締結しなければいけませんが、どうして時間外労働を行わせなければいけないのかなど理由を述べないといけません。従来よりも、とても厳しい制限がかけられるようになったのです。

そのため、どのように36協定を結べばいいのか、どのような規定が定められているのかを良く確認しておきましょう。

2019年から始まった法律ですが、今後は、この法律に従わなくてはいけません。経営にも響いてくると思うので、正しい知識を身につけましょう。

この制限を破ってしまうと、罰の対象となるので注意しなければいけません。また、企業は働き方改革の施策に伴って、労働者の健康を意識した対策を心がける必要があります。この記事では、どのようなことを守っていかなければいけないのかなどのポイントを記載したので、ぜひ1度、見直して下さい。

法律の細かい知識なども必要になってきますので、弁護士にご相談されるのもひとつの方法かと思います。

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