働き方改革によって36協定が新様式に!今までとはどこが違う?

2020年01月27日
労働
働き方改革によって36協定が新様式に!今までとはどこが違う?
「多様な働き方を可能にし、中間層における労働力の厚みを増して労働の環境を改善する!」

働き方改革の目標は、労働の人手不足の解消や、非正規と正規の社員の格差の解消など、さまざまな問題の改善に取り組むことですが、その中の一つの柱となるのが、長時間労働の是正によって働く環境を改善することです。

現在、労働者の残業は36協定によって規定されていますが、働き方改革によって現行の届け出方式から変更が行われています。

今までの届け出とどこが違うのか?

そして新様式に対応するためにはどの点に気を付けるべきなのかについてまとめた記事になります。

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1.36協定とは?


法律で定められている一日の労働時間は8時間、一週間で40時間が上限となっていますが、労働者(労働組合または労働者代表者)と会社が36協定を結ぶことによって、定められた労働時間の上限を超えて残業させることができます。

労働者と36協定を結んだ時には、労働基準監督署長宛てに届け出をしなければいけません。通常は、雇用契約書や会社の就業規則の残業に関する条項として盛り込まれていることが多く、採用の都度、改めて労働者と交渉して結ぶことは少ないです。

届け出が完了したら、一ヵ月45時間までの残業が可能になります、また職種によっては年間に何度か繁忙期が存在するところもあります。一ヵ月45時間の時間延長では、仕事が回らないという問題も出て来ますので、特別条項を記載することにより、条件付きでもう一段上の残業の上限が設けられることになります。

 

 

2.36協定の新様式届け出はいつから?


現行の様式の届け出から、新様式に代わるのは2019年4月以降についてのみ定めたものになりますが、中小会社の場合は1年間の猶予があり、2020年4月以降についてのみ定めたものについては新様式で届け出を行わなければばなりません。

協定の有効期限は1年間に設定されていることが多いので、2020年4月には全ての会社が新様式で届け出を行うようになります。

2019年4月から働き方改革法案が施行されるため、時期を合わせて協定の届け出を新様式に変更するものですが、人手不足が深刻な問題となっている中小会社は、即時対応が難しいために、大会社についてのみ施行と同時に新様式での届け出が課されて、中小会社には1年間の猶予期間が与えられています。

 

 

3.働き方改革法案はどんな法律か?


新様式になるのは「働き方改革法案」が施行になるためなので、どのような法律改正が行われているのかも知っておきましょう。

 

3-1.長時間労働の上限を設定


現行の協定では、特別条項を定めることによって繁忙期などの人手が足りない時期には労働時間を延長するのが可能でした。

年間で6回という回数の制限はあるものの、会社が延長時間について定めていない場合は、月の労働時間や一日の労働時間にも制限なく残業を命じることができることが問題となっていました。

働き改革法案の実施により、特別条項での残業時間の延長にも制限が設けられるようになり、年間6回の期間の中で、休日労働も含め単月100時間が延長の限界とされています。

また、複数の月で平均が80時間までとされていますので、実質残業時間の延長は特別条項があっても、80時間~100時間以内に抑えなければならないことになります。

また、一年間の残業時間も総計で720時間が上限になっているので、繁忙期で特別条項を使うならば、普段の月はほとんど残業をさせることができないかもしれません。

罰則についても大変厳しくなりました。現行の下でも特別条項で長時間労働をさせた場合には6カ月以下の懲役または30万円以下罰金を科すことが可能でしたが36協定の上限は会社で定めた時間を超えた場合に罰則適用でした。

新法律の施行により、会社で定めた上限のみならず法律で定めた上限を超過した場合には上記とおなじ懲役や罰金刑が科されることになっています。

 

3-2.有給休暇の取得の義務付け


有給休暇を与えることは会社の義務とされていましたが、実際、有給休暇を取るためには、労働者が申請をしなければならず、職場の労働環境や人手不足などの理由で、自分から申請をすることができず、有給は付与されていても利用できないという全く名目だけのものになっているという問題がありました。

問題の原因となっているのは申請しない限り有休を使わせることがないという会社の意識です。会社側では、申請がない以上有給を消化できないのは、労働者の責任ということで逃れることができましたが、改革法案の施行で、有給についても大きく変化があります。

10日以上の有給が付与される労働者には、会社側が前もって有給を使いたい時期を聞き取りを行わなければならなくなり、希望を踏まえて年間で5日以上の有給を消化させることが義務となりました。

この改正により、有給があっても全く使えないという状況は改善されるでしょう。
残業時間の延長の変更については、大会社は2019年4月、中小会社は2020年4月とされており、中小会社については猶予期間を設定していますが、有給休暇の取得については全ての会社が2019年4月からの施行が義務づけられています。

 

3-3.正社員と非正規社員の格差の是正(同一労働同一賃金)


同一賃金、同一労働の原則により、正規社員とパートタイマーや派遣社員などの非正規社員に不合理な賃金格差が起きることのないように、労働内容や基本給などを見直す必要があります。

この改革には準備期間が必要なので、大会社は2020年4月、中小会社は2021年4月からの適用と、他の改革案よりも施行時期を遅くしています。

 

3-4.運送業や建設業への残業制限


現行の36協定では、運送業や建設業などには、残業時間の上限は設定されていませんでしたが、法案の施行実施によって、今までは適用されていなかった職種についても、上限が設定されます。

これからは運送業や建設業などの職種も無制限に残業を行なわせることができなくなりました。


 

4.36協定の新様式


新様式の種類と現行と違う点について説明します。


4-1.届け出の様式は7種類


新様式では、用途によって届け出の様式が7種類に分類されます。
様式用途
様式第9号一般労働者について、時間外・休日労働を行わせる場合
様式第9号‐2限度時間を超えて、時間外・休日労働を行わせる場合
様式第9号‐3新技術・新商品等の研究開発業務に従事する労働者に時間外・休日労働を行わせる場合
様式第9号‐4適用猶予期間中における、適用猶予事業・業務に係る時間外・休日労働を行わせる場合
様式第9号‐5適用猶予期間中における、適用猶予事業・業務において、事業場外労働の、みなし労働時間に係る協定の内容を36協定に付記して届出する場合
様式第9号‐6適用猶予期間中において、労使委員会の決議を届出する場合
様式第9号‐7適用猶予期間中において、労働時間等設定改善委員会の決議を届出する場合


36協定で決められた残業時間(月45時間・年間360時間)を超えない場合は9号の様式を使用することになります。現行の特別条項にあたるような、繁忙期や特別な事情で通常の残業時間を超える場合は9号‐2の様式を使用して届け出を行います。

9号‐4から9号‐7の様式を使用する場合は、猶予期間の対象となる建設業や、自動車運転の職業、医師等が該当します。

 

 

5.36協定新様式届け出のポイント


現行の届け出から変更されたポイントは次のような項目になります。

 

5-1.時間延長の限度を定める


現行の協定では、特別条項の記載があれば協定で定められた労働時間を超えて延長が可能でしたが、新様式では延長時間について制限があります。

 

・年間の残業時間の総数を720時間以内にする

・残業と休日出勤の合計時間は月100時間未満にする

・複数月における残業時間の平均は80時間以内にする。

・月45時間を超えて時間延長が可能なのは年間で6回まで

 

今までは、自動車運転手やドライバー、建設業については残業時間の制限が設定されていませんでしたが、今後、猶予期間を経てから年間720時間以上の延長は不可能になります。

 

5-2.協定期間の起算日を設定して届け出を行う


全ての職種において年間720時間以上の残業が制限されますので、1年間の起算日というものが大事になります。時間を計算するのが、どこからなのか?起算日について設定し届け出る必要があります。

 

5-3.残業させる労働者の福祉と健康状態の確保


上限までなら残業させても大丈夫ということではなく、長時間働かせることにより生じる労働者の福祉や健康を損なわない措置をおこなわなければならず、どのような方法で対策を取るか具体例を記載して届け出をする必要があります。


6.まとめ


サラリーマンにとって、協定が新様式での届け出になることはそれほど関係がないと思うかもしれませんが、会社側にとっては、猶予期間があるとは言えども、人手不足の中労働時間を減らすシステムを作り上げなければならないため、かなり大変なことになるでしょう。

働き方改革によって、労働環境は確実に変わりますので、法施行後も今までと残業の時間が変わらないとか、有給が取れないといった状態にあるならば、弁護士への相談をお勧めします。無料相談も実施しています。

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