借金の連帯保証人を引き受けたことで、大きな借金を背負うことになってしまい、
自己破産せざるを得なかった…
そんな事例が現実的に起こっています。
もし、知人や親族に「借金の保証人になってほしい」と頼まれたらどうしますか?
この記事では、連帯保証人とは何か?そして、引き受けたことでどのような
リスクがあるのかについて説明します。
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1.借金の連帯保証人とは?
簡単なイメージですと、借金をした人の保証をするだけではなく
自分も借金をしている人と同じ状態になります。
保証人には、督促に対する「抗弁権」が認められていますが、連帯保証人には保証人のような権利はありません。
つまり、友人が借金をして100万円を借りた時に連帯保証人になったとします。
普通は借金をした人の毎月の返済金額の支払いが滞り、何か月か滞納して、本人から回収できない状態となった時に、保証人に請求されますが、連帯保証人ならば、本人に請求しないで
そのまま保証人に請求をすることが可能にになります。
極端な例では、一度も本人に請求することなく返済を迫られる可能性もあるということです。
2.保証人と連帯保証人はどこが違うのか?
借金や賃貸契約の保証をするもので、同じようなイメージですが全く違うものです。
2-1.抗弁権があるかないかの違い
・催告の抗弁権
保証人であれば、債権者が保証人という理由で借金を返済するように督促を行ってきても、まずは実際に借りた本人に請求するように
抗弁できます。
一方、連帯保証人は借金をした本人が滞納しているわけでもないのに、債権者が本人に請求する前に借金の返済を督促されても
拒否することができません。
借金をした人の保証人であるのと同時に、自分も借金をしていることになっているのです。
・検索の抗弁権
借金をした本人の返済が滞り、債権者から保証人に督促を行った時に、保証人は自分に請求する前に、債務者に財産があること、その財産に強制執行が可能であることを主張することができます。
保証人は上記の抗弁権がありますが、連帯保証人は主張することができずに、借金の
支払いの義務を負います。
・分別の利益の主張ができない
借金をした人物が返済できなくなり、保証人が返済をするのであれば、返済する金額は借金の残額を
保証人の人数で分配した金額になります。
つまり100万円の借金残額を2人の保証人で支払うのであれば、一人の保証人が返済しなければいけない金額は50万円になります。
保証人の数で借金の残額を割ることにより、一人の保証人が支払わなければいけない返済額は減少しますが、連帯保証人は何人いても、一人が借金全額の返済義務を背負います。
3.連帯保証人と自己破産
友人の借金の連帯保証人になったせいで、自分も
自己破産をしてしまったという声をよく聞きますが、実際、連帯保証人になったことが理由で自己破産をした人は、全体の
10%を占めています。
3-1.借金をした人が自己破産をしたらどうなる?
借金をした本人が自己破産をしてしまったら、連帯保証人、保証人のどちらも残りの借金を支払う義務があります。
保証人であれば抗弁権を持っていますが、自己破産の開始決定を受けた場合には催告の抗弁権は主張できなくなります(民法452条)。
また、主たる債務者が破産申立をした場合には主たる債務者に財産(=一部でも返済できる資力)があるとはいえず催告の抗弁を主張することも難しいでしょう。
連帯保証人も自己破産を行った債務者本人と同様に借金を返済しなければいけません。
3-2.先に連帯保証人が自己破産をしたら?
自己破産になったときに、債務者本人の返済が毎月きちんと支払われているのであれば、特に手続きをせずに返済を続けることができます。
しかし、返済が遅れていたり、滞っている期間があるならば、自己破産した人の代わりに新たな連帯保証人を立てることを求められる場合もあります。
契約の内容にもよりますが、民法上では、債権者は、主債務者に対し、保証人(連帯保証人の意味も含んでいます)が
①行為能力者でなくなった
②または弁済する資力が無くなった
という場合には新たに保証人をたてることを請求することができます(450条)。
主債務者は債権者から新しく保証人をたてるよう請求されたにもかかわらず保証人をたてないときは期限の利益(将来分割分)を失うことになります(137条3号)。
期限の利益を失うとは
一括で全額請求されるということです。
4.連帯保証人を頼まれた時うまく断るには?
なかなか人に頼めないものですので、頼まれる相手の関係性は親しい友人や、ごく近い身内の場合が多いです。
そのため人間関係を壊したくないという理由もあり、断りづらいというのもわかりますが、
リスクを考えたら受けたくないものです。
そんな時にはどのような
断り方をしたらいいのでしょうか?
また、断る理由の前提が、借金が支払えなくなって迷惑がかかることになるので、自分は絶対に迷惑をかけることはないから大丈夫だと言ってくる人が多いので、
断ること=相手を信用していない
と思われてしまうので、非常に断るのは難しいです。
4-1.他の人の保証人になっている
親や親族の保証人になっており、いくつも引き受けることができないと言う断り方はよく使われます。
大きなリスクを背負うことになるので、いくつも引き受けることはできないという理由で、相手との人間関係を壊すことなく断ることができます。
4-2.親や家のきまりで保証人になることができない
自分は引き受けてもいいと思っているけれども、家のきまりで保証人にはなれないというスタンスで断るのですが、20代くらいの若い方ならばこの方法が一番断りやすいかもしれません。
しかし、40代、50代になると親に言われているという言い訳もなかなか難しいので、年齢が高い人はこの断り方よりも、他の人の保証人になっているなどの理由の方が使いやすいかもしれません。
4-3.家のローンの支払いなどでお金が足りない
新築で家を購入した人などが使いやすい断り文句です。
家のローンの他にも子供の進学資金とか、会社の立ち上げなど大きなお金が必要になる例を使用できます。
4-4.返答を先送りするのはダメ
とりあえずの一時しのぎで
「考えてみるから、少し待ってほしい」
と返答を先延ばしする方もいらっしゃいますが、この方法はあまり
おススメできません。
断る方にとってみれば、先延ばししている間に、他の保証人を見つけてくれることを祈っているのでしょう。
ですが、連帯保証人を頼める友人や親族は限られていますし、引き受けてくれる人がいなければ相手も事を進めることができないので、いつまでも待っていられるというわけではありません。
考えてみるという言葉を、相手からしてみたら前向きな言葉と捉えてしまって、引き受けてくれるという返事を期待して待っていた場合、最初に断る時以上にさらに断りづらくなってしまいます。
5.連帯保証人になる時のポイント
どうしても断れない時は、どこに気を付ければいいのでしょうか?
5-1.相手が完済できる状況にあるのか?
引き受ける時に、気をつけなければならないポイントは、相手が信用できる人であるかどうかを挙げる人がいますが、注意すべきポイントはここではありません。
例外もありますが、ほとんどの場合頼んでくる相手は、ごく近い友人や親族です。
お世話になった相手、信用できる相手ということに疑いはないでしょう。
問題は、相手が信用できるかどうかではなく、
借りたお金を完済できる能力があるかどうかです。
事業を起こすためにどうしてもお金が必要ならば、相手が行う事業の内容、そしてどのくらいの収入があるかなど客観的に判断して、長期間の返済に耐えられるだけの力があるか見極める必要があります。
5-2.契約時に委任状などを提出する場合は注意が必要
保証人の契約時に、委任状などを一緒に提出してくれと言われる場合がありますが注意が必要になります。
委任状の内容によっては、裁判所の差押え請求を待たずに、資産を差し押さえられてしまう可能性があるからです。
委任状などを持ってきたら、どんな
内容なのかよく目を通して
確認しなければいけません。
内容がわからない白紙の委任などは絶対に行ってはいけません。
6.連帯保証人をやめることは可能?
一度引き受けた保証人をやめることは可能ですが、
債権者の同意が条件になります。
借りた本人の返済が不可能になった時の保険として連帯保証人をつけているので、一定の条件がクリアできなければ辞めることは難しいでしょう。
一定の条件というのは、代わりの人を見つけるとか、借りた本人が、不動産などの資産を担保に入れることで保証人を不要とする契約に切り替えるしかありません。
代わりの保証人も、辞める保証人と同程度の経済状況の方でなければ認められないので、一度保証人になってしまったら、完済されるまで
辞めるのは難しいと覚悟しなければいけません。
7.まとめ
普通の保証人とは違い、自分が借金をしたことと同様になる契約なんていうものは、大きすぎるリスクを考えたら絶対に引き受けたくはないですよね。
しかし、相手との人間関係などを考えると簡単に断ることができないのもわかります。
頼んでくる相手は、最初から騙すつもりで頼んでくるわけではありません。
しかし、長い返済期間の中でどんな出来事があるかわかりません。
病気、失業、倒産など、借入の金額が大きく返済期間が長ければ長いほど予期せぬ事態が発生するリスクは大きくなります。
人間関係とリスクを天秤にかけるというのではありませんが、自分にとってどちらが大事なのか真剣に考えて判断するしかありません。
最悪の場合、今までのような関係性ができなくなることも仕方ないと決断して断ることも考えましょう。
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