個人再生後の退職金は?評価時の必要書類についての紹介

2019年10月07日
債務整理
個人再生後の退職金は?評価時の必要書類についての紹介
多重債務で借金の返済が苦しくなり、債務整理を行うことを考えている人も少なくないでしょう。

借金の総額や自分が月々どのくらいの金額を返済できるかによって債務整理の方法を選択することになりますが、もう一つの選択の要因として、現在、所有している資産がどうなるかを考えるのも債務整理の方法を選ぶ一つのポイントになります。

借金の残額が大きければ、自己破産も免れないという状況になってしまいます。

破産をしてしまうと借金を返済しなくてもよくなりますが、反面、自分の所有する現金や住宅、車などの資産も失う可能性があります

まだ、定期的な収入があり、毎月少しづつでも借金を返せる状態であれば、個人再生の申し立てにより、借金の総額を減額してもらい数年かけて残額を支払うことができるため、所有している家や自動車などを処分されることはありません。

現在、所持している現金は借金の返済に回されてしまいますが、これから受給する予定のまとまったお金についてはどのように判断されるのでしょうか?

会社勤めの方であれば、特に身近なのは退職金です。

既に受給してしまった時、これから受給する予定になってる時など、個人再生
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1.資産は没収されることはない?


自己破産してしまうと、所有している現金だけではなく、自動車や有価証券などの資産は換価され債権者に配当されてしまいます。

現金については手元に残せる金額が99万円までとなっているので、それ以上の現金は全て無くなってしまいます。

しかし、個人再生ならば資産の全てを換価されずに債務整理を行うことができます。

ここで勘違いしてしまうのが、資産には全く手を付けられないわけではありません。

整理によって減額された返済金額が処分されなくて済む資産に関係してきます。

少しわかりにくいので例をあげて紹介してみましょう。


1-1.個人再生で残せる資産の例


Aさん(40歳)の方が、借金の残額500万円を払えずに個人再生を行った場合。

借金の残額は減額され、Aさんが返済しなければならない金額は5分の1の100万円です。

この100万円を3~5年かけて返済していくのですが、減額された時点で所有していた財産はどうなるのでしょう?

個人再生では、資産は換価され配当されるわけではありません。

しかし、その資産総額と減額された返済額を比較して金額が多い方を支払わなければなりません。

つまり、さきほどの例では減額された借金額は100万円でしたが、資産が200万円あれば、200万円を3年~5年で払うことになるのです。

ただし、自己破産と違い、住宅についてはそのまま所有することができます。

残金が100万円になっているのに、生命保険の解約金が50万円で、ローン支払い済みの所有車の価格が70万円だとしたら、減額された残金よりも多くなってしまうので資産を処分しなければなりません。

もしくは、借金の減額を100万円まで減らすのではなく、120万円にして資産の総額を超えないようにする必要があります。


2.個人再生では退職金はどうなるのか?


まとまったお金が入る予定で、多くの人が関係してくるのが退職金ではないでしょうか?

勤務していた企業にもよりますが、数百万、数千万円の大金を受け取る方もいます。

そのような大金を受け取る場合、個人再生を行ったら退職金はどうなってしまうのでしょうか?

結論として、個人再生では、退職金は債権者に配当されることはありません。

しかし、配当されないとはいえ、受給した金額が個人再生により減額した額と比較して退職金の額が大きければ個人再生手続きに影響してくる可能性があります。

そのため、退職金をいくらと評価するかという退職金の評価が問題になります。

いつ受給するか時期によって評価が変わり、減額率との影響度も違いますので、受け取る時期によってどのように評価されるのか説明します。


2-1.既に退職金を受給している場合


個人再生を申し立てする直前、もしくは再生手続きをしている時に退職金を受け取ったならば「満額」と評価されます。

つまり退職金が500万円であれば、500万すべてが資産として評価されます。

個人再生での借金の減額は資産以下になることはありませんので、500万円を受給しているのであれば、減額された残金が500万円以下になることはありません。

また、他に資産が100万円あったとしたら、残額は合計の600万円以下にはなりません。

満額と評価をされるのは、既に受給しているからです。

受給時期がかなり前で、生活費や借金の返済などにお金を使ってしまって、個人再生時には残金がないのであれば、以前にどのくらいもらったかの金額にかかわらず評価をされて減額分に影響することはありません。

ただし、退職金の使途について裁判所から説明を求められます。


2-2.近い将来に受給予定がある場合


近い将来という言葉がどのくらいかと言うと、一定期間が定められているのではく、既に退職の手続きを行っているとか、退職時期が決まっていて、受給時期が明確にわかる場合です。

まだ受給していないならば満額の評価ではなく、受給予定の合計の4分の1の金額で評価されます。

受給予定金額が400万円ならば、退職金の評価額は100万円です。

4分の1という数字は、退職金などの一時金について差押えができる率を元に計算されています。

給与や一時金などは全てが差押えできるのではなく、債務者の生活も考慮に入れて差押えの限度額を算定していますから、4分の3以上の金額を差押えすることが禁止されています。

それで、これから受給する人に対しては法律での基準に合わせて4分の1の金額を評価額としています。


2-3.受給時期がまだ先の場合


30代や40代のサラリーマンの方などは、会社の規定で退職金が出ることはわかっていても、受給時期が20年以上先なので、受給金額についても実際にどのくらいになるのかわかりませんし、定年が今よりも伸びていてさらに受給が先になることも考えられます。

20年以上先の話なので、そこまで会社が存続しているかどうかの保証もありません。

そのため、受給時期がかなり先になる場合は、評価は受給する予定の金額の8分の1の割合で計算されます。

前述したように、その時点での受け取る金額がいくらになるのかは計算できないので、現在、会社を辞めた場合にどのくらい受け取る予定かで評価をされます。

現在、受け取る予定の金額が400万円だとしたら、評価の金額は50万円ということになります。

個人再生による減額が100万円であれば、この退職金と比較しても減額額の方が高いので100万円を3年~5年で返済することになります。


2-4.中途採用の方の場合


退職金は会社に勤続している年数が長いほど多くなるシステムですから、新卒で会社に入った人よりも中途採用で会社に入った人の方が受給金額は少なくなります。

受給額が少ないならば、評価金額が8分の1であってもほとんど減額には影響ありません。


2-5.会社に退職金の規定がない場合


景気の上昇がそれほど見込めていない状況で、中小企業の中では退職金についての規定がない会社も少なくありません。

多くの中小企業は共済に入会していますが、全く退職金が出ない会社もあるでしょう。

退職金が出ないのであれば、減額分への影響はありません。


3.退職金評価で必要な書類は?


退職金を評価する際にどのような書類が必要かについては、受け取る時期によって違います。


3-1.既に退職金を受け取っている


個人再生を申し立てる前に、会社を退職し既に受給している場合。

現金として残っているのかもしくは車や有価証券などに形を変えて資産として残っているか、もしくは生活費として既に使ってしまったかのいずれかになるでしょう。

受け取ってから時間がかなり経過しているのであれば、既に形を変えているために現在の資産状況を申し出るだけで受け取った退職金の金額については問題にされることは多くありません。

しかし、退職金を受け取った時期がそれほど昔ではなく、金額も多い場合、現在の資産と比較してバランスが取れていないのであれば、受給した分の明細を求められる場合もあります。


3-2.これから退職金を受け取る場合


債務整理の手続きが終わってから退職金を受け取るような場合は、受給予定の金額がどのくらいになるか会社に申し出て、退職金証明書を発行してもらいます。

勤務先の経理課や総務課に願い出れば、証明書を発行してもらえますが、発行の際に理由を聞かれることがあります。

債務整理を申し出ていることを会社に知られたくないのであれば、会社の規定と照らし合わせて、自分で受給見込み額を算出する方法もあります。


4.まとめ


個人再生では、任意整理や特定調停よりも大きな減額が期待でき、自己破産のように資産を没収されることがないというメリットだけを見ていた人には、退職金の評価によって、借金の減額に影響が出ることをデメリットと感じるかもしれません。

ですが、債務整理を行わなければ、全てを返済に充てなければならなかったという可能性があったのではないでしょうか?

個人再生の申し立てを行うことで、借金の減額率は低くなっても、退職金を没収されることなく、借金の残額を返済しながら、退職後の自分の蓄えとして備えることができると考えれば大きなメリットだと言えると思います。

証明書をもらう際に、住宅ローンの申請など別の理由で証明書の発行を申請することで会社に個人再生がバレることは防げますが、債務整理のタイミングが遅くて裁判所から給与を差押えられてしまったら確実に会社に借金が返せない状態であることがバレてしまいますので、やはり早いうちに対応を考えた方がいいでしょう。

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