「個人再生」と「自己破産」の違いとは?返済不能時の適切な選び方!

2019年09月26日
債務整理
「個人再生」と「自己破産」の違いとは?返済不能時の適切な選び方!
債務整理には、いくつかの方法があります。

これらのなかで耳にする機会が多いのが「自己破産」で、「自己破産するのはどうしても避けたい、他の方法で債務整理をしたい」という声も多く聞きます。

しかし、自己破産とはどういうものなのか?

その実態を知らずに何となく嫌悪感を抱いてしまう方も多いようです。

借金を返済する資金がない場合は、主に個人再生自己破産を選択することになりますが、どちらの方法を選択すれば良いかは人それぞれです。

ここでは、2つの債務整理方法の違いについて分かりやすく解説します。

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1.自己破産とは


自己破産をする最大の目的は債務をなくすことですが、債務者のためだけではなく、債権者に対し公平に財産等を清算するための制度であることも破産法に記載されています(破産法1条)。

債権者のために財産等を清算する手続き(破産手続)と、債務者のために債務をなくす手続き(免責手続)を同時に進めることができるのです。

そのため、清算すべき財産があるのか、ある場合は、どの程度なのかが調査されます。

この調査中は、清算を妨げる行為は禁止されていることを理解しておきましょう。

その一方で、経済生活の再生の機会を確保されるために催促などが一時停止となります。


原則的に破産管財人を選ぶ


破産手続きをするためには、債権者数や債権額、債権者に分けるべき財産等を調査して、破産手続が終了するまで管理し、債権者に配当しなければいけません。

しかし、破産申立ては、個人の自己破産だけでも年間7万件以上に及ぶため、これらの事実関係の調査や財産管理等を全て裁判所が行うのは負担が大きいです。

そこで、裁判所は、これらの業務を行なう者として「破産管財人」を選任します。

この破産管財人からの報告結果のもと、裁判所が破産手続・免責手続の決定を判断します。


補足:破産管財人の報酬は申立人の負担


免責手続などの例外はありますが、破産管財人の報酬は、申立人が負担することになっている点が大きなデメリットと言えるでしょう。

実際にいくらかかるのかを確認してみてください。

【手続き費用の目安】
種類負担額
申立手数料1,500円
郵便切手4,000円~15,000円程度
破産管財人の報酬等20万円~
官報公告費用13,000円程度
申立代理人費用(※あまた法律事務所)40万円~ 



1-1.自己破産の特徴


自己破産の最大のメリットは、借金の免責を受けられることです。

細かくいえば、債務自体が自然消滅するわけではないのですが、支払いに追われる状況から抜け出すことができます。

これは、自己破産のみの特権です。

一方で、デメリットとしては、信用情報に傷がつくことや、財産を手放さなければならないこと、官報に掲載されてしまうことなどが挙げられます。


1-2.自己破産の流れ(管財事件)


管財事件の場合は、破産管財人との打ち合わせなどの時間や負担が大きいです。

ここでは、手続きの流れについてご説明します。


(1)破産手続きの開始


破産手続き開始の申立てと免責許可の申立てを行います。

申立てに対して、手続きを開始する場合に、裁判所は「破産管財人」を選ばなければいけません。

そして、選ばれた破産管財人の主導のもと手続きが進行します。


(2)破産手続きの内容


破産管財人による破産者の財産の調査や管理、免責不許可事由の有無の確認などが行われます。

破産者に財産があれば、これを債権者に配当するために、換金しなければいけません。

これらは、破産者自身が参加しなければならないものも存在します。


・破産管財人との打ち合わせ


破産管財人との打ち合わせの機会が設けられます。

これは、破産管財人の弁護士事務所で行われ、破産に至った事情や、財産に関する事情等について説明を求められることもあれば、追加で必要な書類の提出を求められることもあります。

この打ち合わせは、免責手続も兼ねていると考えましょう。


・債権者集会


破産手続きの最終段階では、裁判者で行われる「債権者集会」に出頭しなければいけません。債権者集会といっても、実際に貸金業者等が参加することは少ないです。

しかし、家族や友人など個人にお金を借りていた場合は、個人債権者が参加して、意見を述べるというケースはそれなりにあります。


(3)破産手続の終了


裁判所は破産手続きを終了します。

債権者に配当がされて終了する場合を「破産手続き終結決定」、配当すべき財産がないため配当されずに終了する場合を「破産手続廃止決定」といいます。


補足:免責手続きも同時に行われる


管財手続と同時に、免責手続も並行して行われます。


・免責審尋


破産管理人との打ち合わせで、免責不許可事由の有無についても調査されるとお伝えしました。そのため、債権者集会中に、破産管財人が免責についての意見も述べ、免責審尋も行われることになります。


・免責許可決定


債権者集会の後、免責について裁判官が決定します。


2.個人再生とは


個人再生手続とは、裁判所を通して行なう手続きで、支払いきれなくなった借金を一定の基準に基づいて減額し、原則として3年間(特別の事情がある場合は5年間)の分割払いにする方法です。

裁判所により強制的に借金が減額されるので、借金の返済が難しい人にとっては魅力的な制度です。


個人再生手続には2つの方法がある


個人再生手続には「小規模個人再生手続」と「給与所得者等再生手続」の2つがあります。
給与所得等再生手続小規模個人再生手続
主な対象者サラリーマンサラリーマンや自営業者
利用条件・借金返済困難

・継続した収入を得ている

・定期的な収入があり、金額の変動の幅が小さいこと

・住宅ローンを除く総負債額が5,000万円を超えていないこと
・借金返済困難

・継続した収入を得ている

・住宅ローンを除く総負債額が5,000万円を超えていないこと
再生計画許可の際の債権者の立場意見を聴くのみ再生許可認可について債権者の過半数の反対がある等の場合は借金が減額されない



個人再生手続で減額される金額


個人再生手続で借金が減額される基準は以下のとおりです。

債務額減額される金額
100万円未満の場合債務全額(減額なし)/td>
100万円以上500万円以下の場合100万円
500万円を越え1,500万円以下の場合5分の1
1,500万円を越え3,000万円以下の場合300万円
3,000万円を越え5,000万円以下の場合10分の1



給与所得者等再生手続では、上記の表の基準により減額された債務額(①)と、自分の可処分所得額の2年分の金額(②)を比較して、どちらか高い方の金額を支払うことになります。②は①より高額になってしまうことが多いため、給与所得者等再生手続を選択すると返済総額が大きくなってしまいがちです。


補足:清算価値保証原則


小規模個人手続でも給与所得者等再生手続でも、自分の財産をすべて処分した場合に得られる金額(③)と、①と②を比較して、③の額の方が大きい場合は、③の金額を36回分割(3年間)して支払うことになります。これを清算価値保証原則といいます。


2-1.個人再生の特徴


個人再生の最大のメリットは、住宅ローン以外の債務を圧縮することができ、住宅ローンを残すことができることです。

また、自己破産手続ではギャンブルや浪費などは免責不許可事由となりますが、個人再生の場合には、ギャンブル等による債務であっても自己破産のように問題視されません。

しかし、他の債務整理同様で、信用情報機関に事故情報が掲載されたり、官報にも情報が掲載されます。


2-2.個人再生手続の流れ


減額された借金をキチンと払い続けられるかが問われます。ここでは、個人再生手続の流れについてご紹介します。


(1)申立て


個人再生手続の利用を希望する旨を、管轄する裁判所に申し立てます。住宅ローンが残っている持ち家を手放さずに個人再生をしたい場合には、別途その手続きを求める申立ても同時に行います。

申立ての際には、書類の準備が必要で、債権者一覧表や財産目録などには相当な労力がかかります。


(2)個人再生委員の選任


裁判所によって異なりますが、個人再生手続の申立てが受理されると、個人再生委員が選任されることがあります。

個人再生委員は、裁判所が選任する弁護士で、個人再生手続を申し立てた者の財産および収入の状況を調査して、申立人が作成する再生計画案に必要な指摘やアドバイスを行います。


(3)再生手続開始決定


申立てを受け、書類に不備がないことなどを確認した裁判所は、個人再生委員が選任されていれば、その意見を聞いた上で(選任されていなければ、申立人から直接事情を聞いた上で)再生手続き開始決定を出します。

これによって、個人再生手続が終了するまでの間、すべての債権者に対する返済は禁止され、逆に、債権者から申立人に対して取立行為をすることも禁じられます。

また、申立人は、裁判所の許可なく、財産を処分することも禁じられます。

手続きと並行して申立人は個人再生委員に対し、申立書に記載した月の返済予定額を支払うことになります。

これは、毎月キチンと借金を返済できるのかのリハーサルの役割を持ちます。


(4)個人再生委員との面談


面談の際には、申立時に提出した書類をもとに、個人再生委員から申立人と申立代理人に対して、いろいろな質問がされて、追加の資料が求められることもあります。


(5)再生計画案の提出


個人再生委員による債権・財産等の調査が終了後に、再生計画案を提出します。


(6)再生計画案の許可決定


問題がなければ、再生計画案が認可されます。

認可されてから、1か月後に再生計画案を確定し、法的に借金が減額されたということになります。

不認可になった場合は、不服申立てという手段も取れますが、それでも認可されない場合は、他の債務整理を検討していきます。


(7)再生計画どおりの返済の開始


再生計画案が確定されたら、減額された借金を毎月返済していくことになります。


3.個人再生と自己破産のどちらを選ぶべきか


自己破産であれば、債務はすべて免責されて支払う必要がなくなります。

一方で、個人再生の場合は、総債務額や資金の金額によって決定する支払額を3年間もしくは5年間かけて支払う必要があります。

両方とも裁判所を通す厳格な手続きですし官報に掲載される等同じことがある一方で、収入状況や財産状況によりそもそも選ぶべき手続きが決まってしまう場合もあります。

手続き選択は重要ですが法律知識が必要になりますし。相談される方のご状況により異なるので、弁護士に相談して最適な手続きを選ぶことをお勧めします。


個人再生を選んだ方が良い場合


しかし、自己破産にすると支障がある方や、債務の免除が認められない可能性がある方は個人再生を検討することとなります。

  • 住宅ローンを返済中の方

  • 自己破産をすると職業制限にかかるため仕事を失いたくない方

  • ギャンブルや投資などで免責が認められない可能性がある方


上記に該当する場合は、個人再生の手続きを選びましょう。

個人再生と自己破産の違い


4.まとめ


債務が返済不能となった場合の整理方法としては、個人再生と自己破産がありますが、どちらの方法が良いかは1人ひとり異なります。そのため、自己判断で決めるのではなくて、必ず専門家に相談をしてみましょう。

あまた法律事務所では、お客様の収入状況や債務状況をシッカリと把握して適切な債務整理方法をご提案させていただきます。

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