集団訴訟の時効とは?過去の事例で訴訟を提起する際の注意点

2018年10月01日
その他
集団訴訟の時効とは?過去の事例で訴訟を提起する際の注意点
集団訴訟は多くの人を巻き込む訴訟であり、判決によって人生が180度変わってしまう可能性もあります。

そんな集団訴訟を過去の問題に遡って提起するには、時効という問題を意識しなくてはいけないのです。

今回は集団訴訟における時効の問題と、過去の事例で集団訴訟を提起するポイントを見ていきましょう。

1.過去の事件で集団訴訟を起こせるの?


日本国内における集団訴訟は、とある行為によって何らかの被害を受けた人たちが原告団と呼ばれる被害者のグループを形成し、被告に対して訴訟を提起するという形式になっています。

すなわち、原告が個人から団体になったのが集団訴訟であり、その他の点については通常の訴訟と共通な部分が多いのです。

1-1.なぜ集団訴訟をするのか?


集団訴訟には裁判費用を原告団で分担できるという利点があります。

集団訴訟は企業や地方公共団体といった、経済力や権力に富んだ相手に訴訟を起こすケースが多いのです。

こういった相手との裁判は長引く傾向にあり、個人では裁判費用の捻出が難しくなってしまうのです。

原告団で訴訟費用を分担すれば、訴訟費用が足りないから泣く泣く和解するといった局面に陥ることが少なくなるのです。

1-2.時効に要注意


私たちが持っている権利や、罪を犯した際の刑罰には時効が定められています。

集団訴訟において頭に入れておきたい時効は、消滅時効公訴時効です。

集団訴訟は過去の問題に遡って提起することも可能ですが、訴えの内容が時効に達していないことが必要最低限の条件といえます。

2.集団訴訟の公訴時効とは


集団訴訟は基本的に民事訴訟のカテゴリに分類されます。

民事訴訟は原告が自らの権利の回復などのために原告を訴える裁判です。

一方の刑事裁判は、検察官が刑法をはじめとした罰則付きの法律に基づいて、被告人が罪を犯したことを立証していく裁判です。

2-1.損害賠償は被害を知ってから3年


集団訴訟の例を見ていくと、被告となった企業が何らかの不法行為をし、それによって生じた損害を賠償すると同時に、精神的苦痛に対する慰謝料を請求するという形のケースが多く見られます。

こういった場合に適用されるのが、民法における不法行為に基づく損害賠償です。

不法行為を自然人及び法人に対して、被害者はその補填をしてもらう権利があります。

しかし、この損害賠償の権利には消滅時効というものが定められているのです。

消滅時効とは、もっていた権利が消滅してしまうまでの期間のことをいいます。

不法行為に基づく損害賠償請求の消滅時効は、損害および加害者について知ってから3年、もしくは不法行為が行われたときから20年となっています。

この期間を過ぎると、集団訴訟で不法行為に基づく損害賠償を請求することは不可能になってしまうのです。

2-2.不当利得返還請求は10年


損害を与えた側が不当に利益を得ており、これを返還して欲しいという場合には不当利得の返還請求という形で集団訴訟を起こすことになります。

例えば不動産の賃貸人が修理費として賃借人からお金を徴収したにも拘わらず、実際には修理を行うことなく放置していたという場合、修理費が不当な利益となってしまうのでこのケースにあたります。

この場合の消滅時効は権利が発生した日から10年と定められているのでご注意ください。

3.過去の集団訴訟和解で現金を受け取れるケースも


消滅時効とは厄介なものに思われがちですが、言い換えればその期間内に権利を行使すれば被害の回復や精神的苦痛に対する慰謝料を請求できるのです。

3-1.B型肝炎訴訟


過去に発生した出来事を遡って検討し、被害者の利益回復に繋がった集団訴訟の例としては、B型肝炎集団訴訟が有名です。

昭和23年からの40年間余り、国が主導した予防接種において注射器が使いまわされ、その結果B型肝炎に罹患した人たちが40万人以上生まれました。

これは国による不法行為であり、それによって奪われた健康な肉体に対する損害賠償及び救済を求めます。

最初にB型肝炎集団訴訟で勝訴したのは5人の患者です。

しかし国はこの5人の患者に対してのみ責任を認め、それ以外の人々の救済には当たらないという判断を下しました。

このような態度に憤慨した全国のB型肝炎被害者が原告団を結成し、各地で訴訟が巻き起こるのです。

結局のところ国は、2011年に、注射器の使いまわしによるB型肝炎の被害に責任があったことを認めました。

その際に結ばれた基本合意のおかげで、現在はB型肝炎の被害者に給付金が支払われる制度があります。

消滅時効によって当時の被害について訴えを提起できなくなった人も、この給付金によって損害を補填してもらえる可能性が生まれたのです。

4.過去の事案の重要性について


過去の集団訴訟の事例を調べることは、私たちの未来に向けての糧となります。

どういった人々が集団訴訟を起こしたのか、どのような事例において原告の主張が認められるのかといった点は、同じようなケースで集団訴訟を起こそうとしている人たちにとっては先例として大きな意味を持ちます。

また、集団訴訟について調べていくことで、弁護士の名前を目にすることもあるでしょう。

集団訴訟を経験している弁護士が味方してくれると、自分たちが集団訴訟をする際にも大きな力として活躍してくれる期待が持てますよね。

ご紹介した例のように、集団訴訟は過去に遡って損害の回復や不当利得の返還を求めることが可能なので、皆さんが巻き込まれたケースはどうだったか一度振り返ってみましょう。

5.集団訴訟 過去・まとめ


集団訴訟を起こすうえで重要なのは、自分たちが訴えを起こす資格を持っているかという点です。

不法行為に基づく損害賠償を請求するのか、それ以外に何らかのアクションを起こすのかによって消滅時効が変わってきますから、集団訴訟を起こそうとする前に弁護士へ相談するなどして、集団訴訟を提起できるか確認することをおすすめします。
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