集団訴訟においてのオプトアウトとは?他との違いなど徹底解析!

2018年09月28日
その他
集団訴訟においてのオプトアウトとは?他との違いなど徹底解析!
『オプトアウト』という言葉をご存知でしょうか?

そもそも、英語で“opt(オプト)”の意味は「選ぶ」とか「選択する」で、opt in(オプトイン)が「参加する」「加入する」、opt out(オプトアウト)はその反対の「参加しない」「身を引く」というような意味合いがあります。

集団訴訟の場面でも、オプトアウトという言葉が使われています。

1.オプトアウトってなに?


みなさんは、集団訴訟についてどの程度ご存知でしょうか?

例えば、薬害訴訟のように、ひとつの事件で同じような被害を受けたたくさんの人たちが同時に原告となって起こした民事訴訟のことを集団訴訟といいますが、この集団訴訟は多数当事者訴訟の一種で、選定当事者制度や共同訴訟、クラスアクションといったいろいろな形式のものがあります。

集団訴訟の場面での『オプトアウト』というと、訴訟大国と言われるアメリカでのクラスアクションという制度が代表的かもしれませんね。

クラスアクションというと、ある特定の事件や行為といった原因によってたくさんの人に同様の被害が起きてしまった場合に、それぞれの被害者からの申し出がなくても、たくさんの被害者を代表して、その一部の被害者の人が個々の被害者たちのために損害賠償を請求できるという制度をいいます。集団訴訟においてのオプトアウト型では、その被害の対象となる被害者は訴訟に不参加を申し出ない限りは当事者のままなので、訴訟に参加しない人は不参加を申し出て訴訟から離脱し、それ以外の人については届出が必要ないという考え方となります。

2.オプトインとの違い


前項でもお伝えした通り、集団訴訟のオプトアウト型については訴訟の対象となる被害者は基本すべてが当事者という考え方となるので、訴訟に参加しない人だけが離脱を申し出ることとなるわけです。それに対してオプトイン型は、訴訟の対象となる被害者であっても積極的に訴訟に参加する意思を示さない限り当事者ではないという考え方となるため、オプトイン型の集団訴訟の場合には被害者が積極的に参加しない限りは集団訴訟をする意味がなくなってしまうというようなケースがあるため、オプトイン型とオプトアウト型では原告となる被害者側の対応がまったく違ってくるといえます。

ちなみに、アメリカのクラスアクションがオプトアウト型なのに対し、日本の民事訴訟法での「選定当事者制度」は、原告である被害者のうちの一部の人だけを選定当事者として訴訟の手続きなどを委ねられて、その選定当事者以外の原告については訴訟の手続きから離脱して結果待ちをするというものですから、日本でのオプトイン型のクラスアクションに近い制度といえるかもしれません。

3.オプトイン、オプトアウト併用型もある?


日本での消費者団体訴訟制度は平成18年の消費者契約法の改正により創設され、平成19年6月から運用を始めていましたが、この制度はあくまでも事業者の行為を差し止め請求するのにとどまっていました。

諸外国での集団訴訟については、オプトイン型・オプトアウト型・オプトイン型とオプトアウト型を併用する型・二段階型という方法があり、日本でも現時点で検討されている集団訴訟の案はその4つが提案されています。

それぞれにメリットデメリットがあるため、それぞれの長所と短所を検討したうえで日本の訴訟制度に合った制度として、平成25年消費者裁判手続特例法の制定により被害の回復を目的として創設され、平成28年10月の運用開始後の消費者契約を対象として集団的に消費者被害の回復ができるような制度ができました。きっとこれからの集団訴訟制度の基盤のひとつとなるのではないかと思われます。

4.オプトアウトのメリットとは


アメリカでのオプトアウト型のクラスアクションについては、たくさんの人の訴えを一つにまとめることができるうえに、なおかつ、当事者にとって訴訟が何回も繰り返されるというような負担がかからず一回的に解決できるという点は集団訴訟においてのメリットといえるでしょう。

また、オプトアウト型のクラスアクション訴訟は、対象となる被害者への損害賠償金の分配が難しそうな場合でも和解による柔軟な解決ができるといった点や、損害賠償金が少額の場合でも、被害にあったたくさんの人たちを救済ができるという面もあるため、そういった点もオプトアウト型のクラスアクションのメリットであるといえるのではないでしょうか。

けれども、日本での法律のもとではオプトアウト型の集団訴訟の導入については難しいのではないかといった意見もあり、他の集団訴訟と比較して迅速な訴訟の提起が可能だというメリットはあったとしても、訴訟に必要な費用の負担が大きいという点、勝訴した場合の損害賠償金の分配の面でも、個別の被害額の面で不公平感のないように配慮が必要だという点、被告である事業者側に被害者の情報を提供する必要性があるといった点についての面でも懸念すべき点があるのが実情です。

また、食品偽装を例に挙げてみると、オプトアウト型の集団訴訟の場合、問題となる消費者すべての人に対してこういう訴訟が起こっていますということを通知する必要があります。

今でこそインターネットが普及しているのでさほど問題がないように思われますが、通知の方法をどうするのかという点や、対象者が多いケースはその費用もけっこうな金額が予想されますし、その対象者の中でオプトアウトし(※不参加者の確定)、代表者となる者の確定も必要となってくるわけですから、集団訴訟の制度確立にはそれぞれのメリットデメリットも考慮したうえで、わが国に適したものを作り上げていかなくてはならないのかもしれませんね。

5.集団訴訟 オプトアウト・まとめ


集団訴訟のオプトアウト型は、基本的に申し出がない限りは訴訟の対象となる被害者は当事者という考え方となります。

それに対してオプトイン型は、訴訟の対象となる被害者であっても積極的に訴訟に参加する意思を示さない限り当事者ではないという考え方ですから、オプトイン型とオプトアウト型ではまったく違います。

アメリカのクラスアクションがオプトアウト型の集団訴訟の代表的なものかもしれませんが、多くの人の訴えを一つにまとめ、一回的に解決できるという点、賠償金が少額でも、被害にあったたくさんの人たちを救済ができるという面はオプトアウト型のクラスアクションのメリットであるといえるでしょう。

けれども、オプトアウト型の集団訴訟はメリットだけではなくデメリットも当然あるわけですから、日本の法律の下で適している集団訴訟の方法がどういったものなのかしっかりと判断する必要があるのかもしれませんね。
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