何かしらの大きなトラブルに巻き込まれてしまった場合、被害者が多くいるのなら集団訴訟を検討する必要が出てきます。
集団訴訟を検討する際に一番気になるのが、訴訟をして本当に勝つことができるか、そして一体どのくらい賠償を貰うことができるのかです。
そこで実際に行われた集団訴訟でどのくらい勝ち取ることができたのか、そして費用を差し引いた場合どのくらいお金が残るのかをご紹介します。
1.集団訴訟を起こしたらお金がもらえる?
まず事例の前に知っておかなければいけないのが、実際に集団訴訟をするとお金を確実に得ることができるのかどうかです。
集団訴訟は個人で行う訴訟に比べて証拠を集めやすいため、勝訴判決が得られる可能性が十分あります。
しかし全ての集団訴訟で勝訴判決が出ているのかというとそうではありません。
有名な集団訴訟に
ベネッセ個人情報漏洩事件があるのですが、一審で敗訴しています。
2014年6月に個人情報が漏洩してしまい、被害者に500円の図書カードや電子マネーの賠償しか行わなかったため、賠償が不十分として被害者185人で約1470万円の損害賠償の集団訴訟が2018年6月に行われています。
判決では慰謝料が生じるほど精神的苦痛が発生しているとは認められないとして請求を棄却しました。
控訴予定なため確定しているわけではありませんが、勝てる可能性が高めな集団訴訟でも負けてしまう可能性があリますので、必ずしも集団訴訟をすれば勝てるわけではないことを理解しておいてください。
2.集団訴訟で勝って実際に原告が受け取った金額
集団訴訟をして原告側勝訴し賠償金を勝ち取った事例がいくつかあります。
ただ、勝訴といっても全て望んだ結果になっているわけではなく、請求額と判決額に差が出てします。
実際どのような結果になったのかを2つほど事例を紹介します。
2-1.原発避難訴訟
2011年3月に発生した
東京電力福島第1原発事故で避難指示が出た地域住民が賠償を求めた裁判で、77世帯216人による約133億円請求しています。
裁判結果は東京電力に6億1千万円の賠償命令で、133億円の請求に対して約6億円と大幅に減額されています。
2-2.茶のしずく集団アレルギー訴訟
茶しずく石鹸に小麦由来成分が使われており、小麦アレルギー症状が集団発生した問題に対して、20人が1人1500万円の損害賠償を求めて集団訴訟をしました。
裁判結果は販売会社など3社に総額5735万円の支払い命令が出ています。
この茶のしずく石鹸問題は全国28ヶ所から同様の訴訟が起こされていたのですが、その殆どが和解したため、和解しなかった残りの訴訟に判決が出た形になります。
3.集団訴訟にかかる費用と受け取れる金額の差は?
集団訴訟は事例から減額されるけれども勝ち取れることが分かったところで、今度は費用を差し引くとどのくらいお金が得られるのかが知っておきたいところです。
実は集団訴訟の多くが、かかる費用について公表されていませんので、正確にいくら必要になるのかははっきりと言えません。
ただ、個人的に訴えを起こすよりも安く得られる金額が多いため、費用についてはさほど気にしなくてもよいのかもしれません。
3-1.実際どのくらいの金額になる?
実際どのくらいの金額になるのかですが、集団訴訟をした
原発被害救済千葉県弁護団は一人着手金1万円で成功報酬は7%としています。
原発被害救済千葉県弁護団が起こした集団訴訟では42名約3億7千万円の賠償命令が出ていますので、人数割りをすると一人約880万円で7%の成功報酬が約61万円となります。
差額が約810万円ほど残りますので、費用が大きな負担にはなりません。
ただこれはあくまでも一例であり、集団訴訟をお願いする弁護士によって変わってきます。
実際に集団訴訟をする際には一人の負担がどのくらいになるのか詳しく聞くことが必要です。
4.金額を考慮すると集団訴訟は有利になりやすい
安く裁判をと考えた場合、個人で行うよりも集団で行うほうが有利になりやすいです。
まず一番大きく変わってくるのが、弁護士費用です。裁判が絡んでくる弁護士費用はお世辞でも安いとは言えず、裁判をする内容により100万円以上かかってしまうことがあります。
特に大きく足を引っ張ってしまうのが着手金で、小さなトラブルでも着手金が20万円ほどかかってしまうこともあります。
集団訴訟も個人利用する時と同様にかかってしまう時があるのですが、しかし人が集まれば集まるほど大幅に安くすることができます。
例えば着手金が通常20万円ほどかかってしまう場合、集団訴訟のため増額されることもあるけれども、その着手金は人数割りができるため、仲間が多ければ多いほど安くなり、1万円程度で済ませることができます。
また成功報酬も安くなる可能性が高いです。
成功報酬は賠償請求の金額が大きくなればなるほど利率が低くなることが多いです。
集団訴訟は人数分賠償額が増えていきますので自然と利率が下がります。
一人が受け取る金額が個人で訴える時と同様の金額になるので、賠償額はそのままで利率が下がり、その結果成功報酬も安くなります。
大きなトラブルで訴える人が多ければ多いほど集団訴訟がベストと言えます。
4-1.少人数ではさほど有利にならない
集団訴訟は金額面で有利になるけれども、どんな集団訴訟でも断然有利になるわけではありません。
例えば少人数で集団訴訟をした場合、着手金に関しては有利になりますが、しかし、賠償額がさほど増えてくれないため成功報酬の利率が個人と同様になることがあります。
全く意味なしの集団訴訟になってしまうことはありませんが、金額だけを考えると少人数だとさほど個人との大きな違いが出てこないため、できるだけ人を集めるようにしましょう。
5.集団訴訟 金額・まとめ
いくつかの集団訴訟の事例と金額に触れていますが、有名な集団訴訟の多くが決着していない状態でまだ続いています。
今後さらに事例は増えていきますが、全てが望んだ結果になるわけではなく、最悪な結果で終わる可能性もあります。
集団訴訟のメリットばかり見るのではなく、時間がかかったり結果が出なかったりなどリスクの部分もよく理解してから参加するかどうかを考えるようにしましょう。